RMCピックアップ取り付けの備忘録

製作中のギターにRMC pickupを取り付けました。ウェブ上に取付方法の情報がほとんどないので、備忘録を兼ねてこちらに記しておきます。

過日、製品の写真をSNSのストーリーズにアップしたところ、先輩製作家の朝倉宏泰さんがメッセージをくださいました。朝倉さんは有名アーティストのギターに取り付け実績があるのでコツをうかがったところ、弦高調整の方法とその際の注意点を教えてくださいました。まずはこの場を借りて朝倉さんに感謝申し上げます。

RMCは独立サドル型のピックアップで、弦高調整はピックアップの足を削って行います。弦の振動をロスしなければシムも有効です。左が加工前、右が加工後です。

各弦のピックアップを順番に加工していきます。弦高確認をする際は、

  • 適切なネックリリーフ(このギターはトラスロッドを仕込んでいます)にしておく
  • ナットは仕上げておく
  • 全ての弦を張ってチューニングが安定した状態で測る

必要があります。

ピックアップが左右に動くと弦間ピッチが変わってしまいますので、ズレ防止としてサドル溝(ピックアップ溝)に適切な寸法のスペーサーを接着しました。

各弦の調整が完了しました。

配線作業にうつります。今回はお客様と相談の上、プリアンプはオンボードではなく外付け(Poly-Drive II)にすることにしました。RMCピックアップとPoly-Drive IIはDINケーブルで繋ぎます。

ピックアップとプリアンプを取り寄せた際に同梱されていたジャックは8ピンでした。リチャードさん(Richard McClish)はコンタクトピエゾとのデュアル使用や、マンドリンや多弦ギターへの取り付けも想定されているようです。

各弦のケーブルを端子にハンダ付けしていきます。ピックアップ取り寄せ時に頂いたインストラクションには各弦の使用端子が記されていたので、それにならい取り付けました。

端子同士がとても近いので、それぞれが接触しないように収縮チューブを巻きました。右の黒い線は弦アース用です。

弦アースはこのように行いました。

DINジャックは木ネジで固定するタイプです。ケーブルの抜き差しを考えるとジャックはボルトでギター内部からナット(&スプリングワッシャー&ワッシャー)で固定するのがベストですが、配線作業があるのでそうはいきません。ジャックの木ネジ穴が約3.0mmでしたので、それ以下の径でなるべくネジ部が長いものを選びました。

ジャックの取り付けが完了しました。

ボディ内部の配線です。なるべくトップ板やバック板に触れないように、各線をまとめてねじりました。線そのものの剛性が高いので、この方法がベストだという判断です。

全ての工程が完了しました。ギターのお引き渡し時に微調整が必要になるかもしれませんが、完成時のセットアップとしては妥協せずできることを全てやったと思います。

納品が楽しみです!このギターの詳細は後日完成品として私のブログに別途投稿いたします。