新作&新設計のギターができあがりました。
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イーストエンド国際ギターフェスティバルに展示し、ご好評いただき安心しました。
GMJメンバーの小林良輔くんや、他の製作家の方々とも久々に色んなお話ができて楽しかったです!
今回製作したのはSOLモデルの杉モダンタイプ という位置づけとなる楽器です。音の比較の為、通常タイプとセミレイズドタイプ、二種類作っております。
最新のSOLモデルは、ここ数年の工夫を盛りだくさんに詰め込んだ作品です。
何が違うかというと・・・
①セミ・レイズド仕様
通常、セミレイズド形状にする場合、ネック材と同じ木材で高さを確保するのですが、
コクタンを使っています。
理由は二つあり、
一つは、支点を硬く動きにくく作る事で高音が伸びやかでちゃんと鳴るようになる事。
(例えば、ハイポジションをバイオリンのように浮かせたり、指板のコクタンを薄くペラペラにする あるいは軽い木材を指板に使うと途端に高音域の音が伸びなくなってしまいます。)
もう一つは、レイズド構造にしたときに、12Fの位置が分かりにくくなる というデメリットがあり
12Fにポジションマークを入れてくれ! という声がたまに上がるので・・
接合部がコクタンになることで12Fの目印代わりになります。
さらに言えば・・セミレイズドを作った事のある製作家なら分かる、あの悩みもついでに解決できちゃいます・・(笑)
イーストエンドの展示で、多くの方から、「これはよい工夫!」とコメント頂きました。音色はセミレイズドにした分、通常タイプと比べるとわずかに音に張りがでる感じですね!
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②セミ・ラティスブレーシング
モダンタイプのブレーシングはここ数年でかなり変わっています。
以前は、トラディショナルをベースに、高音部を軽く硬く作る工夫によって1弦のハイポジションまで鳴らす力木設計をしてましたが、
今回は桜井師匠のパワーとバランスを両立させた力木をベースに、自分好みの音作りをしていった結果です。
ラティスブレーシングに近いですが、構造的な強度を確保しつつ、無くてもよい木目方向の力木を極力減らす事で音の柔らかさを出しています。
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自分的にはかなり狙い通りいっています!まだ出来たての音ですが・・
桜井師匠からも、これはいいぞ と太鼓判を押して頂きました。
③カシューの手塗りタンポ塗装
これも新たな挑戦ですが・・・
うちの愛用する塗料、カシューをセラックのフレンチポリッシュのように、タンポで薄く塗り上げます。
セラックフレンチポリッシュのメリットは、タンポで薄く塗り重ねる事で木の本来の鳴りを妨げない事、塗装を軽くすることでパワーが得られる事などがありますが、
セラックは汗や湿気に弱く、すぐに塗装がやられる扱いづらさ がデメリットとして上げられます。
カシューをタンポ塗りすることで、湿気、耐久性に強く、フレンチポリッシュのような薄い塗膜を作る といういい所取りの塗装ができる という事を思い描き、やってみましたが・・・
そもそも、カシューって乾くのに時間がかかるんですよね。セラックのように簡単に塗り重ねが出来ず・・・
結果、通常のフレンチポリッシュの数倍の時間がかかっています。
音に関しては、通常のうちのカシュー塗装とは違う音になってます。セラックのフレンチポリッシュともやはり違いはありますね!
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ということで・・相変わらず試行錯誤は続けております。新作作るたびに、必ず改善点は見つけるようにつとめております。
次に出来上がる個体も、更なる新たな工夫を盛り込んでいます。
お楽しみに!!