アメリカはニューヨーク州ウッドストックにて毎年行われている展示会Woodstock Invitaional Luthiers Showcaseに参加してきました。
この展示会は10年以上続けられている世界でも有名な展示会で、毎回非常にハイレベルな製作家とミュージシャンが招待制で集められ世界中から愛好家が集まります。規模としては日本の大sかサウンドメッセや東京ハンドクラフトギターフェスティバルには及びませんがギターや音楽に対するリスペクトや愛情が肌で感じられる素晴らしい展示会です。
ここで日本の大型の展示会との差違や日本の製作家と海外の製作家の違いについて感じたことがありますのでつらつらと書いてみようと思います。
その1 「展示会?販売会?ギターショー?」
ウッドストックのショーでまず始めに感じるのは主催者の温かいWelcomeな姿勢ですかね、、、。会場にいる全ての人間の共通の興味はやっぱりどこまで行っても「ギターとそれに絡む音楽」なわけで、
「その気持ちを共有している人間がこれだけ集まって楽しく過ごしている事って素敵だよね!ハッピーだよね!」
という雰囲気が常にあります。それはやっぱり主催者さんの人柄が大きく関わっていると思います。 他の展示会だと出展者はあくまで出展者でお客様を迎える側なのですがこの展示会は出展者すらも主催者からするとゲストであり、ギター音楽文化を支える大事な一部であると言う意識を非常に感じます。僕自身もこの展示会は大好きで行く度に家族として迎えていただき、此方も親戚に久しぶりに会えたような感覚になります。兎に角ピースフルな空気が常に流れていて仕事できていることを忘れてしまいます笑。 ところがこの展示会の凄いところは会場で売り上げるギターの比率が非常に高いと言うことです。
人気の展示会なので当たり前と言えば当たり前ですが、規模や入場者数から考えると凄いと思います。僕もアメリカの展示会で展示品が売れたのはこの展示会が初めてでした。
所謂展示会の「売ったるで〜」感より「こんなの作って見たよ!見てみて!どぉ?」的な感じがして文化としての懐の深さを感じてしまいます。
決してどちらが優れているとかでは無く、差違を感じるなぁというお話しです。
その2 本当に「日本の製作家の方が作りは丁寧」なのか、、、、?
これは僕が製作を始める前から言われていることで「海外の作家の物は音は良いけど作りが粗いんだよねぇ、、」というのはあちこちで良く耳にしました。
結論から言うと「ひとそれぞれ」ですね笑
まぁ、こんな事言えば身も蓋もないんですがそもそも製作家を海外と日本で分けちゃうと主語が大きすぎて比較になりません。あくまで傾向としてそうであると言う意見も判らないでもないけど特にここ10年くらい見ているとそれすらも怪しいなと感じます。勿論ぱっとみて粗いなぁと感じる作家さんは居ますがかなり減ったと感じます。むしろ若手でパッキパキに仕上げてありセットアップも申し分ない作家さんが非常に増えたと思います。
ここで本当に考えなくてはいけないのは「海外の物は音が良いけど作りが粗い」の「音が良い」の部分ですよね。人の仕事のアラを探すのは誰でも出来るしそれを見つけることで優位性を担保するのは「ギター製作家」ではなく「木工作家」の姿勢かなとも思います。まぁ、「粗さ」の度合いによっては道具としてどうなのよ?みたいな物も確かにありますが、、、。
「良い音」、「良いギター」の定義をちゃんと考えなきゃなぁと思いました。
これはあくまでも「文化の違い」に帰結してしまう事な気もしますが、兎に角出来る限り日常的に、自然に、生の良い音楽や良いギターに触れると言うのが非常に大事でその経験の中からしか個人の「良いギター」や「良い音楽」という製作の指標になるような物は産まれてこないような気がしています。日本にそれが無いと言う意味ではありません。
つらつらと書いて見ましたが相変わらず文章苦手で言いたいことが書けているのか、伝わるのか微妙ではありますがなんとなく色々考えて作ってるんだなぁと言うのが伝われば良いかなと思います。
一応最後に、繰り返しになりますが上記の文章はアメリカの方が凄い!と言いたいわけではなく、個人的に「こういう違いを感じましたよ。みんな違って面白いですね。」という事なので誰かを揶揄したり持ち上げたりしているわけではありません。一応書き添えておきます。